〒790-0011 愛媛県松山市千舟町5丁目3番地6 香川ビル2F
最近初孫が生まれ、ベビー用品店に出向く機会があります。その一つ、「西松屋」の店内は他店に比べると独特なレイアウトだと感じていました。極シンプルで、小売店にありがちな装飾品やマネキン、ワゴンなどは一切置いていません。 タイムリーに『TOP LEADER 2010年6月号』(日経BP社)において「西松屋」が特集されていて、「お客様のため」を追及した結果このスタイルに行き着いたということが分かりました。「西松屋」は1956年創業の子供服スーパーで、二代目の現社長の下急成長を遂げ、全国約700店舗を展開。2010年2月期の売上高は約1177億円、経常利益は約94億円、売上高経常利益率は業界屈指の約8%という実績です。
今回は本著より、『西松屋 強さの理由【1】~【5】』の概要をご紹介します。
日本全国、判で押したように同じ簡素なレイアウトが特徴であり、西松屋の武器。
シンプルなレイアウトだと初期投資や運営コストを削減でき、経営の安定と共に安い商品の提供が可能となる。ほしい商品をすぐに見つけることが出来るのも魅力。
通路が広くベビーカーも楽にすれ違え、万引き防止にも有効。
店舗立地は、主要道路から脇道に一本入ったところが基本。これは、運転が得意でない人がストレスなく来店できるよう交通量が少ないところを条件としているから。
また、育児に追われ一刻も早く買い物を済ませたい顧客を満足させるには繁盛店は不要。西松屋にとっては’ほどほどの店’が成功店で、顧客の殺到は’失敗店’。
西松屋のプライベートブランド商品であるTシャツの最安値は299円。これでも利益を生む理由は、「個性的なデザインの服は作らない」から。シンプルで飽きのこないデザインだとコストは最小限におさえられる。顧客の立場に立ったトレードオフ(一方を追求するため、それに反するもう一方を犠牲にすること)により実現出来た。
「現場でユニークな工夫をする」ことはやらない。店長に求められているのは売り上げ実績でなく、日々のオペレーションの”遂行率”。本部が『ひとりでに売れる仕組み』を作れていない場合に現場に工夫を求める結果となり、それは本部の怠慢と言えると考えている。
独創性はほとんどの場合独りよがりで顧客の利便性に結びつかないので、根拠があいまいな現場の知恵には頼らない。
西松屋は店舗拡大を至上命題としながら事実上の無借金経営を続ける。顧客のためには永続的なサービス提供が必須なので、万一にもつぶれてはならない。それには出店のために借金するというリスクは負わない。
ただ、それであってもさらに出店実績をあげる予定ではある。借金せず出店ペースを上げるには資本効率を高めることが必要だと考えている。