JALが映した日本の老化

 日本航空が会社更生法の適用を申請し経営破綻したのは記憶に新しいところです。今年1月19日のことでした。かつては優良企業の代表選手で、大学生の就職先人気ランキングで5年連続首位という輝かしい実績を残しています。夢見がちで無謀な少女だった私も、『日本航空のスチュワーデス』に憧れていた過去があります。残念ながら、当時設定されていた身長制限『160㎝以上』の壁に阻まれましたが…

 今回は、日経ビジネス2010.2.8号(日経BP社)の’直言極言’から、’JAL経営破綻 JALが映した日本の老化’をご紹介します。


 日の丸を背負ったJALが経営破綻するなどあり得ないというのが一般人の感覚だったが、それは表向きで、実態は多くの役員が天下りリーダー不在の企業だった。

 JALの破綻は日本の「老化」を浮き彫りにした。かつての勝ちパターンが通用しなくなったのだ。日本がバブル崩壊後も経済大国として通用したのは過去の遺産があったからで、JALも過去の遺産があるうちは無責任体質でも生き延びられた。しかしそれが食いつぶされ、遂に破綻した。「老化」はスピード感と決断力の欠如をもたらす。

 昨今、中国を始めとしたアジア諸国の台頭が目覚ましいが、ビジネスの現場で日本と異なるのはそのスピード感だ。リーダーの即断即決で何でも決まってしまう(この点は、近代化していないことの裏返しかもしれない)。日本では、責任者が分散して、誰も物事を決断できないから会議だけが延々と続く。

 東アジア諸国は猛スピードで発展を続けている。日本のスピード感のなさは、国際社会で生きていくうえで大きな問題になりかねない。耳当たりのいいことばかり語って問題を先送りしていては、日本国もJAL同様破綻してしまう。今こそ、決断力を持ったリーダーが必要だ。