企業内研修

 現在、多くの業界が変革を担う人材の育成という課題に直面し、企業内研修を実施しています。しかし、研修が必ずしも成果に結びついていないという場合も多いのではないでしょうか。  今回は「日経ビジネス 2010.1.11号」(日経BP社)から幾つかの会社における企業内研修をご紹介します。


■ 佐世保重工業(造船会社)

 中国勢に追い上げられるなか、中堅の佐世保重工業が生き残るためには思い切った改革 が必要だと考え、若手社員の中からそれを実現できる人材を育成する目的で「SKK改革塾」 を実施。

 座学中心では人材が育たないという反省から、現実の経営課題を題材に、受講者のチームが解決策を検討するという「アクションラーニング」を行う。これには業務改革と人材育成の同時実現を図れるという利点がある。

 結果、相当突っ込んだプランも提案され、社員の意識が変わってきたという手応えは得られたものの、どれも改善の範囲に留まり、会社全体の変革を提案したものはなかった。

 受講者の自主性に任せてきたが、社長の期待するところを伝えるべきかもしれない。

■ TOTO

  1998年度、工戸数の落ち込みを主因と新設住宅着して、上場以来初の最終赤字を計上し た。そこで企業体質の抜本的な改革を担う人材を選抜し、育成するために経営スクール(現「社長塾」)を実施。

 座学中心の研修を脱して、基幹事業の再生、赤字事業の黒字化、新規事業の育成という現実の経営課題に対して受講者が解決策を提言するというアクションラーニングを行う。

 ここでの提言を実のあるものにするため、所属部署の固定観念に染まった受講者の意識を半強制的に変えることと、既存の事業部のトップたちを説き伏せるための客観的データを収集することに取り組んだ。

 結果、新築からリフォームにシフトするという戦略に沿った新規事業や改革の提案が次々生まれ、それまでとは異なる販売手法でリフォーム向け商品の売上を伸ばしていった。

■ ホシザキ電機

  業務用の製氷機、冷蔵庫等で国内シェア首位に立つが、顧客基盤である個人経営の飲食店が減少しているという状況のなか、会社の変革を担う人材育成が必要と判断。

 TOTO社長塾経験者の松岡氏を社長フォーラムの講師として招く。

 データの収集と分析を徹底させた結果、国内市場での存在感が高まる外食チェーン向けの営業が手薄になっているという事実が判明。これらのデータに基づいた説得力ある提言により、チェーン店統括部の新設に至った。